日本のダンスシーンの姿勢を黒人たちは見ている

90年代のHipHopを踊っていながら、ブラックヒストリーを知らないのは何も学んでいないってこと。先生に『なぜ教えなかったのか』を問うてほしい。私たちは全部教えたはずだ。がっかりだ。 - Rubber Band

George Floydさんがアメリカで警察官に殺害された事件をきっかけに起こった人種差別主義への抗議行動のうねりの中、6月3日深夜、主に日本の人たちへ向けたオンラインパネルディスカッションがありました。

テーマは
「黒人差別はダンスやミュージックにどう影響を与えたのか。その『ブラックカルチャー』は世界にどう影響を与えたのか。私たちはなぜこれについて考えるべきなのか」

引用 Japan for Black Livesより

事件を発端に、アメリカのダンス業界は6月2日、SNSへのダンス動画投稿や、レッスンをやめ、ブラックカルチャーへの経済的・社会的・政治的な支配と人種差別への抗議の意を示しました。

多くのダンサーのSNSに真っ黒の画面がうつしだされたことを目にした人も多いと思います。

みなさんがダンスを習っている先生やスタジオはどんなスタンスや発信を示していましたか?

Free∞Spirit Dance Academyを主宰するPrinceはAfrican American. HipHopカルチャーは黒人たちが抑圧された時代に(今もだと思いますが)African Americanのコミュニティーで発せられたものが形になっていったもの。

表には出さずとも、Princeも事件に類似した経験は幾度となくあります。

今日は、パネルディスカッションで語られたことをかいつまんで紹介し、カルチャーを取り入れて育成やビジネスをしていることを立ち止まって考えたいと思います。

※太字にしているところは彼らが発した言葉そのものです。

ディスカッションを主宰したBrooklyn TerryはHipHopの先駆的なクルー Elite Forceのメンバー。

多くの日本人はブラックカルチャーに馴染みながらブラックピーポーが直面している状況はわからない。まずはパネリストたちに撮って人種差別とは何かを問いたい

彼は3時間近く続いたディスカッションをこのような前提で切り出し、2つ目の質問で “文化盗用”トピックにあげました。

カルチュラルアプロプリエーション(文化盗用)とは?

自分の文化ではない、ブラックの人たちの文化を

普段はダンスや音楽を自分に取り入れて
まるで自分のものかのように振舞う。

でも、何か起こった時にはそれを見せないようにして関係ないように振舞う。

そこに文化の盗用、人種差別がある

質問にこう答えたのはDJ, Journalistとして活動するRich Medina (@richmedina ) 。

ここでBrooklyn Terryは、大阪で実際にあったDJイベントのフライヤーを画面共有し、名指ししました。

そのイベント名にはBlack Peopleたちの間では“当事者しか使ってはいけないNワード”が用いられており、パネリストたちは「これはやりすぎとは言い納められない、文化盗用の最たる例」として批判していました。

実際にどんな言葉が使われていたのかは、動画見てみてください。

パネリストが考える“人種差別”

先んじて、Brooklyn Terryがパネリストに質問したのは「人種差別とは何か」ということについて。

人種差別には3つのタイプがあり。

1つ目
明らかに「この人種の方があの人種より優位」と示している人たち

2つ目
「人種差別はしないよ、ダメだよね」とポーズを取りながら無意識のうちには特定の人種を下にみている人たち

3つ目は
人種差別に全く関心がない。その結果、現状をよしとしている人たち

と答えたのはJapan Timesの記者Baye McNeil。

日本に多いのは3つ目「ブラックの人いいよね、仲間だよね」と表向きは言うけど、実際深く付き合っていくとそんなに関心はもっていない

アメリカに多いのは2つ目 「私は黒人の友達がいるから、差別主義者じゃないよとポーズをとる人」と説明しています。

視聴者とパネリストの間に見えた認識の差

「今まで黒人差別の問題をあまり知らなくて、無知だから沈黙している。なんて表現していいのかわからない、なぜ、それがいけないことなのか」

「Nワードを黒人当事者が使っていいのに、なぜ私たち日本人やアジア人が使ってはいけないのか」

ディスカッションでは、投げかけられた質問とその質問が出てくること自体に仰天していたAfro Americanのパネリストたちの乖離が印象的でした。

あまりの認識差に通訳の方が日本では「教育の欠落がある」と指摘していましたが、本当にそれがあらわになったオンラインディスカッション。

「私たちのカルチャーをコスチュームとしてまとうな」」

HipHopが日本に入ってきて根づき、広がったこの30年の間に積もってきた日本のシーンの無知さとそれへの怒りが伝わるので、ぜひまだ見ていない方は見てみてください。

Ladies of HipHopというイベントを仕掛けているMichele Byrd (@theeladybyrd)は、アジアのダンサーたちはこの問題にどう関わればいいのかを問われ、答えています。

私たちが長い年月をかけて作ってきたHipHopカルチャーの価値を利用している人はいっぱいいるのに、こういう話を聞こうとはしない。

バトルには来る。イベントには来る。だけどこういうディスカッションには参加しない。

グローバル化が進み、ネットを使えばダンスだけじゃなく、その根底にある歴史を知ることだって簡単にできるはずです。

日本のHipHopの先駆者と呼ばれる人たちにダンスを伝える時に、この場で議論や質問があったことは全部伝えたはずなのに、なぜ教わってないんだ?

ディスカッションの最後に、登場したMYSTIDIOUS MISFITSSのRubber Bandはとても厳しく、強い口調で日本のダンスシーンの”先生たち”を批判していましたが、

2020年を経験した次世代のダンサーが、こんな問いをされても恥じないワールドワイドなダンサーになるように。

一人の人として世界の人たちへ思いをはせ、リスペクトできる態度を育てられるように。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、レッスンも休みが続いたこの2ヶ月。強化メンバーが集まる今週の土曜日レッスンは座学が始まる予定。

今のタイミングで、Princeの本音を交えてメンバーにHipHopダンスの根底にあるBlack Lives Matterから伝えていこうと思います。

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